執行委員長挨拶

笑顔で働けるやりがいのある仕事であるために

~仲間との繋がりは、安心して働く第一歩~

 

 

 日ごろの真摯な教育活動に対する敬意とともに、福島高教組の活動に対する温かいご理解とご協力に心より感謝申し上げます。

皆様のお引き立てをもちまして、昨年度より引き続き2期目として、執行委員長を務めさせていただくこととなりました。重ねて、上部団体である日本高等学校教職員組合(日高教)本部専従書記長に佐瀬善美執行副委員長(喜多方桐桜)が再任されるとともに、福島高教組本部専従に鈴木知洋書記長(ふたば未来学園)が就任し、2023年度の取り組みがスタートしております。

 昭和25年の結成以来73年目を迎えた福島高教組は、「是々非々(よいものはよいとして奨励し、悪いものは悪いとして指摘・改善する)」「不偏不党(特定の主義や政党に偏ることなく中立の立場をとる)」を堅持し、本県の高等学校及び特別支援教育の充実と振興、教職員の待遇の改善に向けて、組織の総力を結集して取り組みを重ねてまいりました。小桧山淳執行副委員長(会津西陵)に本部専従書記長として尽力していただいた先の2年間では、特に組合活動のICT化を精力的に進め、役員業務のオンライン化、オンラインによる組合情報の発信と組合員意見の集約、県教委とのリモート要請などを実現し、現場の意見を交渉・要請へより反映できる体制を確立するとともに、多くの組合員が活動に参加しやすい体制を構築しました。これにより、昨年度は「高速道路7日間ルール」や「子育て休暇取得要件」の緩和など数多くの新たな権利を獲得することができました。

 福島高教組新執行部一同、これまでの活動の精神を受け継ぎつつも、令和の新しい時代において福島高教組のさらなる発展のため、持続可能な組合活動を確立していく所存であり、子どもたちの学習環境の充実と教職員の待遇・勤務環境の改善に向け、日高教と連携を強化しながら、誠心誠意努力してまいります。皆様のご支援とご協力を何卒よろしくお願いいたします。

 さて、ロシア・ウクライナ情勢を含め、昨今の国内外情勢の様々な影響から引き起こされている物価の上昇は、我々の日常生活にも大きな影響を与えており、教職員の給与・待遇改善は喫緊の課題であるのは間違いありません。今年の春季生活闘争(春闘)は、現段階での連合集計では満額または要望以上の回答が多く見受けられますが、どこまで中小企業へ波及するかは不透明であり、楽観視できない状況です。人事院・人事委員会勧告に向け、日高教が加盟する公務公共サービス労働組合協議会(公務労協)を通して春闘に取り組むとともに、県人事委員会へも要請を行い、大幅な給与改善を図ってまいります。

 教育行政については、昨年度約6年ぶりに、全国の小中学校、高校を対象とし、8月、10月、11月に「教員勤務実態調査」が行われました。日高教を通した要求によって、今回から高校も調査対象となり、調査結果の速報値が5月までに示されます。文部科学省は、この調査の結果次第で給特法や定数法の見直しについても検討するとしており、報道では、各政党に委員会が立ち上げられ、教職調整額の廃止や支給率の見直し、時間外手当の支給や新たな手当の創設などさまざま議論されているとあります。調査結果を注視するとともに、時間外勤務の縮減が図られ、職務・職責に見合った給与・処遇につながる制度となるよう引き続き取り組んでまいります。

 一方、本県では、「県立高等学校改革前期実施計画(2019(令和元)年度~2023(令和5)年度)」の完成年度となり、「県立高等学校改革後期実施計画(2024(令和6)年度~2028(令和10)年度)へと進んでいきます。この改革が子どもたちの学習環境や私たちの勤務環境に大きな影響を及ぼすことはいうでもなく、引き続き、動向について注視してまいります。また、本年度より教員の研修記録作成の義務化や定年引上げなど新たな制度の運用が始まり、新たな課題が発生すると考えております。その在り方については、現場との情報交換を密にしながら、県教育委員会との交渉・要請において強く求め、先生方の勤務条件や勤務環境が改善するよう共に取り組んでまいります。

 最後に、組合活動は地方公務員法で保障されている権利です。現在、さまざまな業種で労働組合組織率は低下の一途をたどり、福島高教組もその例にもれません。しかしながら、教育環境や待遇の改善などの成果は、福島高教組の活動を通じて長き時間をかけ、地道に交渉を重ねた末にようやく勝ちとったものです。権利とは、行使することによって初めてその価値を確かめることができます。そして、権利の行使は、「みんなでみんなのために」・「笑顔で働けるやりがいのある仕事であるために」の精神のもとで、全員で取り組んでいかなければなりません。持続可能で魅力ある働き方を実現するため、組合員同士だけでなく非組合員とも情報交換を行う職場会を開催して加入促進に努めたり、困り事に関しては分会での学校長要請を実施したりするなど、各分会活動の活発化にご尽力をお願い申し上げます。


福島県高等学校教職員組合 執行委員長 永井國之